年齢 | 42歳 |
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移住時期 | 2014年 |
移住エリア | 若宮地区 |
小野さんは大学卒業後、大手建設会社に就職し、そこで高経年住宅団地と言われる開発されて数十年経過した団地の調査をしていましたが、結婚を機に地元市原市に戻り、地域の空き家問題の現状を知りました。「自分でどうにかしなきゃいけないっていう勝手な使命感に駆られて、会社を辞め、始めたのがこのプロジェクトなんです。」とはにかみます。
2児の母でもある小野さん。子育てをしながら毎日忙しなく会社員を続けることに憂慮していた時期に、市原市で活躍する建築家・黒澤健一さんと団地再生の話になり、出来そう!やってみよう!と勢いよく飛び込んでみたそう。環境が変わったことで、忙しい中でも気持ちには以前よりも余裕ができたといいます。
On Re. Projectは『若宮団地の街と空き家のリノベーションプロジェクト』で、2022年の発足からこれまでに3つのテラスハウスを購入し、第一弾がOn Re. Cafe、第二弾はシェアハウス、第三弾として美容サロンオーナーへの物件の賃貸を行っています。現在進行中の第四弾は空き家を使った夢実現のお手伝いをし、さらに今後は、耕作放棄地もリノベーションを進めていく予定だそうです。
若宮団地は50年以上の歴史を持つ住宅団地で、自治会組織が強く、地域の人々が住宅を守ってきた場所。外部から入り込んで事業を始めるにあたって、地域住民の理解獲得にとても苦労したといいます。プライバシーの課題なども、地域と対話しながら、一つひとつ工夫しながら対応するなど、地道に地域との関係作りを続け、今では徐々に理解を得られるようになってきています。
今回、取材でお邪魔したOn Re. Cafeは、木目調の内装に、2階床をくり抜いて作られた開放的な吹き抜けからあたたかく陽が差し込み、入店した瞬間から心地よい雰囲気に包まれていました。
現在、栄養士・調理師である小野さんのお姉さんと2人で運営するこの店舗は、できるだけ解体工事を自分たちで行い、古材や古家具など使えそうなものはフル活用。2022年12月に着工し、リノベーションに労力はかかったものの、地域の人々や学生さんの協力も得ながら、わずか4ヶ月後の2023年4月にカフェのオープンまで漕ぎ着けました。
また、若者向けに開設したシェアハウスでは入居者を事前に募り、入居者とともに設計をしていったといいます。最初に集まった20代半ばの社会人3名の入居メンバーは、入れ替わりがありながら現在も楽しく豊かな暮らしを送っているそうです。
On Re. Cafeの店内には、空き家の状態からカフェとシェアハウスがそれぞれ現在に至るまでの写真をまとめたアルバムも置いてあり、お店の内装と過去の様子を見比べることもできます。また、On Re. ProjectのInstagramアカウントでもこれまでの歩みを見ることができます。
小野さんは、地区内の公園などで開催される自治会主催のイベントに出店したり、自ら月に1回若宮団地の専門店街で「リバイバルマーケット」を企画するなど、地域の賑わいを取り戻すための活動を行っています。
このOn Re. Projectの舞台に若宮団地を選んだ理由としては、駅から徒歩圏内でしっかりとした住宅団地、インフラもきちんと整備されているのになんだか廃れている。ちょっと変えれば復活できるかもしれない。そういうポテンシャルがこの団地や地域にあると感じたそう。
一度は離れた地元だからこそ、ほっとできる場所であると気づくことができ、まちづくりに励む個性豊かな人々で溢れていることを知った小野さん。今では地域の人々やお店に足を運んでくれるお客様との出会いを大切にしながら交流を深め、お互いに刺激し合える関係を築いていくことが、やりがいの一つなんだと語ります。
小野さんに、市原市の北部地域の魅力を尋ねると、”都会ほど密集していないけれど、生活に必要なインフラは全て整っていて、不便のない程よい田舎”と答えてくれました。
これから移住を考えている方に向けては、「何を始めるにも思いや勢いがないと何もできないと思うので、強い思いと勢いに乗る勇気があればどこでもなんでもできると思います!」と力強くコメント。市原市は市域が広い分、個性的な人々がたくさんいて、それぞれが色々なことをやっていて面白い。協力し合ったり、応援してもらえたり刺激的で楽しい日々を送れています!と眩しい笑顔で語ってくれました。
「プロジェクトはまだまだ始まったばかり、これからも空き家や耕作放棄地を使って楽しいコンテンツを増やしていき、市内のどこよりも若宮が1番楽しい!ってくらいにしたいと思っているので、見守って応援してくれると嬉しいです!!!」