年齢 | 50代 |
---|---|
居住地 | 市原市瀬又 |
お気に入りの場所 | 畑 |
職場の玄関近くのスペースには、利用者の方が好意で持ってきてくれた花が植えられています。
植えたのは、施設の “名物” 職員である堀部さん。
近隣の保育園や小学校にも顔が広く、施設での様々なイベントを企画する傍ら、自然栽培や合唱などパワフルに活動をされている女性です。
「地域の情報にアンテナを立てていたいので、職場では席を立つことが多いの」と楽しそうに語る堀部さん。
楽しそうに集う人たちに声を掛け、機会があれば地域を盛り上げるイベントを一緒にやらないかと誘います。
堀部さんが働いている施設では、子育て相談会や親子で楽しめるコンサートのほか、防災や生涯学習など生活に役立つさまざま種類の学びの場を提供しています。
「人はそれぞれ得意分野を持っている。それを生かせば、地域はもっと楽しく盛り上がるはず」……そんな想いを胸に、新しい世界の扉をどんどん開いています。
そんな堀部さんの原動力となるのが、畑での体験です。
コロナ禍で職場が休館になった2020年、場所がなくても人を繋げる仕事を続けなければと、先に栽培を始めていた知人に取材に行きます。
「植物が育つためには『火(太陽の光)・水・土だけでよい』と聞いて、試しにやってみたら本当に出来たのが嬉しくて。最初はペットボトルプランターだったけど、実際に畑でやってみたくなって、草だらけで放棄地となっていた裏庭から始めました」
ほぼ原野とも言える土地を開墾して、種を撒きます。
草が生えてきても、除草剤は使わずに手で抜いたり鎌やハサミで調整したりします。
その土にあった植物が育つはずだから、「上手くいかないこともあったけれど、その土地の歴史に合うものを見つけたい」とのこと。
「除草しない、というと本業の農家の人に驚かれることもあるけれど、素人の自分ができることはそれだけで、だからこそ進化していかなきゃな、と感じる。仕事も同じ心持ちでやっています」
初めて作物が収穫できたときは、嬉しくて全て食べてしまったそう。
「食べ終わった後になって、『あれ!? また種を新しく買わないといけない!?』と気が付いたの。アホよね~」
大地の恵みを人が得ていくためには、種を残して次に繋いでいくことが重要。
そこで、この土地に適した種を作っていくことを目標にします。
「種を撒いて、収穫して、次の世代に繋げていく。仕事としての企画も一緒で、私ができることは、種を撒くというきっかけ作りだけなの」
堀部さんは畑にも仕事にも真っすぐ向き合っています。
「『こんなにやってるのに』とか『自分がやってやってる』みたいな気持ちは、自然に対するときは不必要。人と人を繋げる施設の仕事の中で生まれる要らない感情も、畑はリセットしてくれる」と語ります。
畑では文句を言わない、悪口を言わない。言霊に気を付けます。
自然に対して「やらせていただいている」という気持ちが沸いて、喜びいっぱいで活動していると、たくさんの作物が獲れるそうです。
“ダイチの力” の活動日は、基本は水曜日と土日のいずれか。
「縛りを設けず、自分のために活動したい人と共に畑作業をしたい」と堀部さんは話します。
最近ではイベントをきっかけに若い人が興味を持って来てくれるようになり、それぞれの得意分野を活かして作業を進めているそうです。
もちろん、畑での活動はびっくりすることもあります。
柵を立てて畝を作っても、猪に突破されて畝をぐちゃぐちゃにされることもあります。せっかく発芽したところを、雉に食べられてしまうこともあります。
畑は1週間も放っておくと、全然違う姿になってしまいます。
最初のうちは自分の未熟さに唖然とすることもあったとか。でも、厳しい冬を越えて種が芽吹かせた植物の強い力を感じると、嬉しくてたまらなくなるそうです。
「自分の力ではどうにもならないこともある。でも、目的に向かってまっすぐに進んでいると、手助けをしてくれる人が必ず現れてくれるんです」
草刈り機を扱える人が協力してくれたり、小屋を譲って移設してくれたり。
堀部さんのまっすぐで明るい人柄が、公私ともに人を惹きつけているようです。
結婚を機に千葉市から移住したという堀部さんに、市原の魅力を伺いました。
「すぐそこには川が流れ、山や田畑が広がっているけれど、駅にも街にもわりとすぐに出られる。都心にも空港にも行きやすくて、自由自在に活動をたっぷりと楽しむことが出来ます」
時には保育園やPTAに向けて栽培の体験会をしたり、合唱団の一員として東京のコンサートにも出演する堀部さん。
自然の力をたっぷり受け取って、堀部さんは今日も笑顔で人々を迎えます。
最新情報などはコチラから。