年齢 | 33歳 |
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現居住地 | 川崎市多摩区 |
移住予定 | 2035年までには(希望) |
移住エリア | 姉崎地区 |
お気に入りの場所 | おばあちゃん家 |
市原市姉崎で生まれ育ち、小さなころから図工や美術が得意だった長谷川さん。将来の進路を考え始めた高校生の頃、たまたま遊びに行った葛西臨海水族園を見て「かっこいい!」と思ったことをきっかけに建築を志すようになりました。
神奈川県の大学へ進学を決め、地元を離れ川崎市へと移住。幅広い分野を深く掘り下げる建築の面白さにどんどんのめり込んでいったそうです。
大学卒業後は、恩師である教授が主宰する都内の設計事務所に就職し、建築や都市について約7年間の下積みを重ねました。
大好きな建築を職業にできていることに充実感を覚える一方、あるモヤモヤも感じていたそう。都市計画のワークショップ等の仕事で、最終的に良い提案がまとまっても、地域のプレイヤーが不在で実現に至らないことが多く、また自分自身が実行する側に立てないことにも歯痒さを感じていたそうです。
そんな中、地元市原で「リノベーションスクール(以下リノスク)」が初開催されることを知ります。興味はあったものの仕事も忙しく参加は見送りましたが、この機会を見逃すわけにはいかないと、最終プレゼンテーションへ足を運びました。そこでは地元で暮らしや商いを営む人々の、力強い熱量を感じたとのこと。
市原にこんな人たちがいたんだ、こんなに熱いものが地元に眠っていたんだ。そんな興奮と期待を感じながらも、都内の職場に帰り日常へと戻って行きました。
翌年、設計事務所として独立し、忙しく過ごしている中、市原で感じたあのワクワクを忘れかけたころに一本の連絡がありました。昨年のリノスク最終日に挨拶を交わした市役所の三澤さんから「第2回リノベーションスクールを開催するので、長谷川さんにぜひ参加してほしい」とのこと。
建築に携わる中で感じてきたあのモヤモヤ感、そして地元市原に感じたあのワクワク感をふと思い出し、三澤さんの熱意に背中を押される形で一歩踏み出すことにしました。
リノベーションスクールとは、実物の空き物件を対象に、たったの3日間で事業化を前提とした提案をまとめていくというハードなカリキュラムが特徴です。同期メンバーと濃密な3日間を駆け抜けて最終プレゼンに臨みましたが、長谷川さんとしては消化不良に終わってしまったそうです。
神奈川に住んでおり、独立したてということもあり「地元メンバーがやりたいというプランに、建築やデザインのスキルを活かしてサポートや支援はできるよ、という一歩引いたスタンスで、当時の僕は全然腹を括れていなかった」と語る長谷川さん。
でも踏み出した一歩は、時を置いて少しずつ花開いていくことになります。
これまでは五井エリアを対象としてきたリノスクでしたが、第4回(2023年)からはフィールドを変えて、長谷川さんの地元姉崎で開催されることになりました。
第2回リノスクで提案した事業は実現できませんでしたが、遠方からも建築やデザインで地元に関わり続けていた長谷川さん。もちろん第4回にも参加しました。
そこで出会ったのは、自分よりずっと若いのに、本気で身の回りを変えていくため、リスクをとって事業に取り組む、そんな熱い地元メンバーたち。とにかくチャレンジングで前のめり。スクール最終日は抱き合って号泣。
「それまでの自分はクールぶって、なんてぬるいことを言ってたんだろう」と振り返る長谷川さん。
彼らとの出会いをきっかけに、自分も地元でもっとやりたい、熱くやりたい、彼らと一緒にやりたい!と思い行動を共にするようになりました。
そして、長谷川さんと仲間達は「connect姉ヶ崎」を結成します。
チーム名の「connect」には、住んでいる地域や年齢、職業の違いなど境界を越えてつながっていこうよ、という思いが込められています。
スクール修了後、長谷川さんと仲間達は、営業許可の取れる移動式屋台づくりから始め、それを使って姉崎エリアで実験的に出店してみたり、公園で試しにピクニックイベントをやってみたり。まちに出ていく、チームでまちに関わる、みんなをつないでいく。そういう意識で、まちの期待感を醸成してきました。
夏には公園を使ってお祭りを。ハロウィンには仮装して楽しくイベントを。月に1回、平日の朝にゴミを拾ってコーヒーを飲んで語り合う。姉崎になかった、でもちょっと欲しかった、そんな風景を作ってきました。
まだ川崎に住んでいる長谷川さんは、朝のゴミ拾いのためだけでもアクアライン経由で通ってきており「数千円の交通費をかけてゴミ拾いしにきているのはなんだか可笑しいけど(笑)いまの姉崎での活動にはちゃんと手応えを感じるんです」と言います。
活動が少しずつ地域の方々にも認知されてきて「頑張ってるね」「姉崎、変わってきたね」と、自分の地元姉崎にみんなが可能性を感じてくれるようになってきたことを本当に嬉しく思っているそうです。
川崎に住みながら、自分の地元に関わり続ける。そこには長谷川さんの強い想いがあります。
生まれ育った実家のそばにあるおばあちゃんの家。いつ遊びに行っても優しいおばあちゃんが迎え入れてくれる。長谷川さんにとっては心から安らげるシェルターのような存在だったそう。
でも今はおばあちゃんが1人で住んでいて、いつかは住み手がいなくなってしまう。すでに痛んでいる部分もあるし、必要もなくなったら取り壊さなければならなくなるかもしれない。それは寂しい・・・。
「自分が建築を仕事にしているということは、僕がやれ、ということなのかなと」
長谷川さんは、おばあちゃん家を住み継いでいくことを考えます。
でも既に築200年を超えるお家。これを次の100〜150年残していくためには、資金もスキルもしっかり蓄える必要があります。
「あと10年くらいはしっかりと体力をつけて、絶対におばあちゃん家に戻ってくる」長谷川さんは力強く決意を語ります。
10年後、自分と家族が戻ってくるその時、姉崎はどんなまちなんだろう。
今3歳の子供も10年後は中学生。お父さんが帰ろうという地元を、姉崎を「面白い」と思って欲しい。
「僕も妻も子供も、市原、姉崎って面白いね、戻りたいね、と言えるように。いつか帰るその日まで、地元に関わり続けます」
家族と地元を深く愛する長谷川さん。“その日”まで、挑戦はまだまだ続きます。
市原は里山も海もあっていろんな風景が見れるし、暮らし方を自分たちで選べるまちだと思います。
千葉市ほど出来上がってなくて。木更津や袖ヶ浦ほど開発で盛り上がっているわけでもない。その分、まだまだ余白があると思っています。
そんな余白を活かして、僕たちは姉崎をもっともっと面白くして行きます。
面白いまちを一緒につくってくれる人、ぜひ市原に来てください!
地元市原での設計のお仕事もお待ちしています♪
【WEBサイト】合同会社スナバ
【インスタグラム】合同会社スナバ
【インスタグラム】connect姉ヶ崎
参考)
リノベーションまちづくりについて