そだち そだてる いちはら
くらす はたらく いちはら

ONE DROP FARM

〒290-0151 千葉県市原市瀬又1406
取材日 2025年12月22日
市原市瀬又で有機農業とはちみつを生産・販売している「ONE DROP FARM」。 代表の豊増洋右さんに、この地で農業を営む思いを伺いました。

「瀬又から世界へ」ONE DROP FARM

瀬又の川を渡った先にある、小さなショップ。
静かな里山のふもとに「ONE DROP FARM」はあります。

可愛らしい黄色の車が目印

ショップの中には、色とりどりのはちみつが売られています。
この日は、ご家族連れや贈りものとしてはちみつを購入していく人の来訪がありました。
瀬又の地で採れたはちみつは、たくさんの人を魅了してやみません。

有機農業と蜂蜜の物語

「ONE DROP FARM」の代表を務めるのは、豊増洋右さん。
2017年にこの地の農場を引き継いでから、有機農業を始めました。

有機農業とは、化学肥料を使わない農業のこと。
有機JAS認証を得るためには、国が指定する厳しい基準を満たしている必要があります。

「いろいろな経緯があって、このあたりの土地をまとめて引き継ぐことになりました。でも最初は、とても有機農業が出来るような土地ではなかった。土づくりから始めないといけないな、と思いました」
緑肥(肥料となる植物)を育てて、2018年の秋から有機JAS認証を受けて出荷ができるようになったそうです。

この日袋詰めされていたのは、一番人気商品である2kgパックの人参でした。
「規格外のものもまとめて入れるので、手作業でないといけないんです」
ネットスーパーに並ぶこの商品はリピーターも多く、もっと生産を増やしてほしいと依頼されているんだとか。

「有機農業は、とても面白いです。美味しくて身体に良いものをたくさん作ろうと思ったら、とても理にかなっている。もちろん、それには技術が必要になります」と豊増さんは語ります。

有機農業における技術とは、90%は観察力にあるそうです。
「その土地に合ったやり方というものがあります。合理的な農業には、地質学的な成り立ちとか畑の周囲の環境をよく知ることが重要です。ここで蜂蜜を始めたのは、実は苦肉の策でした」と豊増さんは笑います。

緑肥に覆われた地表

土づくりをして有機野菜としての認証を得るには、時間がかかります。
「その間、緑肥となる蜜源植物があるのなら、蜜蜂を養って収入源としたい。それに蜂蜜は身体にも良くてお客さんにも喜んでもらえるし、やらない手はないと思いました」とのこと。

蜂蜜をやろうと決めたとき、住み込みの修行にいくと手を挙げたのが、「ONE DROP FARM」となる以前からのスタッフである岡川さんでした。
「養蜂は動画で勉強したという人も多いけど、やはり現場で数をこなしている人には敵わない。厳しい現場で岡川くんは修行をしてきてくれました」と豊増さんは語ります。

養蜂を始めたことで、「蜂の視点で森や畑を見ることができるようになった」のがとても大きかったそうです。
「放置されていた森は、生物多様性が失われてしまっていました。有機農業だけをやっていたら気が付かなかったことだと思います。僕らは畑にいろいろな植物を植えて蜜蜂を養うことで、その多様性を取り戻す再現をしています」

地域への綿密な観察と、厳しい現場での蜂蜜修行を経て、「ONE DROP FARM」の美味しい蜂蜜は生み出されています。

「蜂蜜もテロワールを楽しんでほしいです」と、豊増さんは話します。
テロワールとは、ワインなどの評価において土地の生育環境における特徴を表す言葉。
ワインにその年のとの土地の味があるように、蜂蜜にもその年その森ならではの味があるとのこと。

「これは2020年の瀬又産、これは2025年の養老渓谷産。夏よりも初夏の味が美味しいよね。そんなふうに、その年の地元ふるさとの味を楽しんでほしいなと思います」
蜂蜜は劣化しないため、いろいろな土地や年の蜂蜜を集めて味比べを楽しむのもおススメだそうです。

市東という土地について

市東地域には、「15町会共創プロジェクト」という団体があります。
「15町会共創プロジェクト」は、令和7年度の地域づくり表彰で審査会特別賞を受賞しました。
これは、市原市として初の快挙でした。

「15町会共創プロジェクト」は、若者が減少し放棄耕作地が拡大する中、地域課題を解決するため2021年に発足した団体です。
「市東地域の現状には、確かに厳しい課題もありました。でも2018年の花プロジェクト市東や15町会共創プロジェクト、2023年の魅力向上塾などをきっかけに、この地域にもともとあった魅力が発信されて地域全体が生き生きとしていった感じがあります」と、豊増さんは話してくれました。

2019の花プロジェクト市東では、蜜蜂の巣箱見学も。

「地域の活性化、という視点で言えば、企業主体でとりくむ地域もあるかもしれないけれど、この地域のように住民のみなさんが中心になって進められている感じが好きです。そこで、私たちも、いち民間企業として、成長を目指していきたいと思います」

木更津と瀬又の二拠点生活を送る豊増さん。
市東地域の魅力を聞くと、真っ先に「とにかく、良くしていただいています」という答えが返って来ました。

「僕は市東の方々のお人柄がとても好きです。他の地域は、余所者にこんなに優しくしてくれないです。“地域の魅力” は “地元の人の魅力” とほぼイコールだと思うので、この地域はすごく大きな力を持っていると思います」
さらに、「人の魅力をあげれば、僕は固有名詞で全員あげられるかも」と豊増さんは笑いました。

「瀬又から世界へ」と掲げる豊増さんに、今後の目標を伺いました。
「『千葉県でオーガニックといったら瀬又だよね』と言われるようになりたいです。有機農業をやりたいという若者が市外や県外から来てくれたときに、受け皿になれるような企業に成長したい」

市東の味を有機農業と蜂蜜で伝える「ONE DROP FARM」。
桜の蜂蜜を練りこんだ「瀬又ロール」は週末限定とのこと。
ふるさとの美味しい味を、楽しみにきませんか?

おすすめスポット

おすすめスポット一覧へおすすめスポット一覧へ